FP&Aの仕事内容で説明したように、Commercial FP&Aは以下のような仕事を行っている。
【リスト】 Commercial FP&Aの仕事内容(実務ベース)
- 中長期計画策定(ブランド/マーケティング/営業戦略策定のリードorサポート含む)
- 来期単年度予算策定(ブランド/マーケティング/営業戦略策定のリードorサポート含む)
- フォーキャスト作成
- 決算分析(月次・四半期・年度)
- レポーティング
- クロージング(決算締め)
- 標準原価(スタンダードコスト)算定
- プロジェクトへの参画(新製品開発、生産拠点移設、コスト削減、ITシステム導入etc.)
- カウンターパートからの相談事の解決
- ビジネス/経営課題の解決に向けた提案
- Visitor対応
これらを遂行するために必要なスキルセットは以下の7つ
- Business acumen(ビジネス感覚/商才)
- データに基づいた問題解決スキル
- コミュニケーションスキル
- 管理会計知識
- 財務・会計知識
- ITスキル
- 英語力
ポジションにもよるが、未経験の方がFP&Aに転職する場合、基本的には管理職ではなくプレイヤーとして採用されることがほとんどである。その際に、これらのすべてのスキルを身に付けておく必要があるのだろうか?安心してほしい、答えはNOだ。
必ず持っておきたい3つのスキル
7つのスキルのうち、FP&A未経験者でも必ず持っておきたいのがこの3つだ。
- Business acumen(ビジネス感覚/商才)
- データに基づいた問題解決スキル
- コミュニケーションスキル
英語力を除き、その他のスキルや知識は入社後に既に存在しているエクセルやマニュアルで勉強するか、誰かに教えてもらえば良い(英語は自分で頑張るしかない)。今の時代、会計知識はネットで調べることだって可能だ。
FP&Aの仕事内容と日系企業の管理会計と外資系FP&Aの違いで触れた通り、外資系企業のFP&Aはサポート業務ではなく、自らの分析で周囲に影響を与えてチームを引っ張っていく役割を担っており、将来の予測とアクションプランの策定を行っている。
その過程で日々Commercial FP&Aにはカウンターパートからの相談事を日々解決したり、Corporate FP&AやPlant FP&Aと様々な場面でコミュニケーションを取ったりすることがFP&Aには求められてくる。それを行うために必要なスキルがこの3つというわけだ。
日系企業の管理会計では、その3つ以外のスキルが求められることが多いかもしれないが、日系企業の管理会計と外資系FP&Aの違いで説明したように、それらに求められる役割は明確に違いがあるため、これを混同してはならない。
日系企業の管理会計からFP&Aへの転職で入社後に苦労しているという話をよく耳にするが、その原因もここにある。
逆に管理会計を経験していなくても、マーケティングや事業企画、もしくは営業の方が、FP&Aに必要な3つのスキルに長けている場合が存在し、転職で大きくキャリアアップしたという事例も珍しくない。
あなたがFP&Aに必要なスキルを正しく理解して、FP&Aへの転職に臨んでくれることを願っている。